スキンダイビングは、マスク・スノーケル・フィンがあればできてしまう身軽なマリンスポーツですが、ダイビングと同様に、耳抜きは必要?と疑問に思ったことはないでしょうか?

耳抜きは、ダイビングでもスキンダイビングでも同様に必要です。なぜかというと、水面から水中に潜ると気圧の変化(周囲の圧力が高くなります)が生じるためです。

今回は、スキンダイビングにおける耳抜きのコツや方法について、一緒に学んでいきましょう!

山﨑光美

この記事を書いたプロフェッショナル

  • PADIダイビングインストラクター
  • 看護師
  • 潜水士

結論:スキンダイビングでも、こまめな耳抜きは必須

スキンダイビングでも、ダイビングと同じようにに耳抜きは必須です。では、なぜ耳抜きが必要なのでしょうか?

水面から水中に潜ると、気圧の変化が生じるためです。水面は1気圧ですが水深10mは2気圧、20mは3気圧といったように、水中での気圧変化は10mごとに高くなっていきます。水深が深くなればなるほど、水中での気圧は高くなっていくということですね!

気圧が高くなったまま耳抜きをしないと、痛みや不快感が生ます。また、鼓膜や中耳腔に障害を起こしたりするリスクもあります。耳抜きとは、変化する周囲の圧力に中耳腔内の圧力を合わせることです。圧力を合わせることにより、鼓膜や中耳腔の負担を減らし快適に水中に潜ることができます。

TERUMI

ダイビングやスキンダイビングでは耳抜きが必須です。なぜ必要なのかを理解しておくことも安全のために大切です。一緒に学んでいきましょう!

耳抜きの種類と方法

耳抜きには、いくつか種類があり方法も異なります。大きく分けると、鼻をつまむ方法と、つままない方法があります。では、どんな種類があるのか、見ていきましょう!

鼻をつまむ方法

  • バルサルバ法
    息を送り込むときに横隔膜を使って行う方法です。
  • フレンゼル法
    舌と喉の筋肉を収縮させることで空気を送り出す方法です。
    やり方は、できるかぎり息を吐き出します。そして、息を止めてから鼻をつまんで圧平衡します。これでフレンゼル法ができているのか確かめることができます。吐き出す空気がない場合、フレンゼル法のみで圧平衡ができるからです。
  • トインビー法
    口を閉じて鼻をつまみ、ツバを飲み込んだりあごを動かしたりする方法です。

バルサルバ法は、飛行機に乗った際や、標高の高い山に登った際に、やったことのある方も多いのではないでしょうか。バルサルバ法とフレンゼル法では、フレンゼル法の方が優しく行うことができ、コントロールもしやすくなります。フレンゼル法では、肺の空気を使わずに済むからです。しかし、フレンゼル法の習得には少し練習が必要です。練習をすれば大抵は問題なくできるようになりますよ!

鼻をつままない方法

鼻をつままない方法には、唾を飲み込む方法、顎を動かす方法などがあります。これらの方法は、運動によって耳管を開き、中耳に空気を送って耳抜きをすることです。バルサルバ法に比べて強い圧がかからないため負担が少ないのでおすすめです。しかし、この方法では耳管に送られる空気の量が少ないために、バルサルバ法に比べ、耳が抜けにくい場合があります。

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耳抜きができない3つの原因

耳抜きができない原因は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

①耳管の通りが悪い

耳管とは、中耳と咽頭をつなぐ細い管で、中耳の気圧を調節する役割を果たしています。耳管は通常は閉じていて、嚥下やあくびなどの動作で開き、中耳の気圧を外気圧に合わせます。 しかし、風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻や咽頭に炎症があると、耳管が詰まったり狭くなったりして、空気の通りが悪くなることで耳抜きがしにくくなります。

②耳抜きの方法が間違っている

バルサルバ法では、鼻をしっかりとつまめていなかったり、口から空気が漏れていたりすると、耳に空気が送られず耳抜きができません。鼻や口から空気が漏れないよう、しっかりと閉じることが大切です。 またトインビー法では、ツバを飲み込むタイミングやあごの動かし方にコツが必要であり、有効に行えていないと耳抜きができません。それぞれの方法は、人によって合う合わないもあります。自分に最適な方法を見つけることも大切です。

③耳抜きのタイミングが遅れている

はじめにも説明したように、水中に潜ると水深に応じて気圧が変化します。そのため、耳抜きをするタイミングは重要です。また、耳を圧迫する水圧は水深が浅いほど変化率が大きいと覚えておきましょう。水面から水深1メートルへは1気圧から1.1気圧と10%も変化し、水深2mから3mへは8.3%と変化が大きいです。そのため、よりこまめな耳抜きが必要です。
また、潜ることに集中してしまい耳抜きを忘れてしまったり、中性浮力がとれず耳抜きが追いつかないまま急潜行してしまったりすることなどがあります。

耳抜きができないときの対処法

ここまで、耳抜きの必要性、種類や方法について説明してきましたが、実際に水中でやってみると耳抜きが上手くできない人もいます。耳抜きができない原因は何でしょうか?そして、どうすれば耳抜きが上手くできるようになるのでしょうか?耳抜きができない原因と対策について考えてみましょう。

耳抜きが上手できないときは?

  • 違和感が生じたら、すぐに耳抜きをします。痛みを感じてからの耳抜きは遅すぎます。
  • 中性浮力を保ちながら潜行し、浅場での急激な圧力変化を防ぎましょう。
  • ある深度で耳が抜けないときは、インストラクターに耳抜きができていないことをハンドシグナルで伝えましょう。そして少し深度を上げて、確実に抜けるまで同じ深度に留まります。
  • ひとつの方法で上手くいかないときは、別の方法でもやってみると抜けることがあります。
  • 一方の耳が抜けない場合、抜けない側の耳を上に向けて、耳抜きをしてみます。
  • 耳の後ろ周りをマッサージしてみることも効果的です。
  • いろいろな耳抜きの方法を試しておきましょう。

どうしても耳抜きができないときは、無理に続けることはせず、中止の判断をします。無理に続けてしまうと、耳の痛み・中耳炎(潜水性中耳炎)・耳閉感・鼓膜穿孔・めまい・難聴などの症状を起こすことがあります。絶対に無理はしないでくださいね!

MIKI

慣れないうちは、上手にできるようになるまで時間がかかることは、よくあります。焦らずに無理のない範囲で、いろいろ試してみて下さいね!

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耳抜きの練習方法と道具

耳抜きが苦手!と感じている人は少なくないと思います。しかし、耳が抜けない原因を知って、正しい耳抜きの練習をすれば、克服できる可能性がとても高いです。耳抜きはトレーニングを行うことが可能です。今回は、簡単に使用できるものを2つ、ご紹介しますね!

オトヴェント

オトヴェントは元々、滲出性中耳炎の子どものために開発された在宅治療のための鼻で膨らませる風船です。絶妙なゴムの硬さで設計されているため、膨らますために必要な力加減が耳抜きにも最適であり、トレーニングに使用されています。

オトベントは耳管 (耳とのどをつなぐ管) を開き、 中耳内圧と外気圧とを等しくする働きがあります。

トレーニング方法は、オトベントを2~3秒かけてグレープフルーツ大に膨らまし、更に2秒間程度その大きさをキープします。この力加減を身体で覚えることで、スムーズな耳抜きを行うことができるようになります。繰り返し耳抜きのトレーニングを行うことで、耳管が開きやすくなり、耳抜きがしやすくなります。

ドッグスプロ(ダイビング用耳栓)

通常の耳栓は水圧によって耳の奥に入り込んでしまうため、水中で使用できませんが、この耳栓には小さな穴が開いているため、水中でも使用できます。

スコットバルブと呼ばれる特殊な通気孔により、潜降時の急激な圧力変化を穏やかにしてくれます。また、浮上時には膨張した空気が通気孔から自然に抜けていくことで耳抜きをサポートしてくれます。

特性上、耳に水が入るのを防ぐものではないことも知っておきましょう。
深く潜っていくと、外耳に残った空気を自動的に少量の水をいれることで調整します。
ダイビング用品店などで一般的に販売されていますが、使用する際は十分に注意をし、少しでも異常を感じたらすぐに外すようにしましょう。

まとめ

スキンダイビングやダイビングにおいて、耳抜きが上手にできないという人はたくさんいます。耳抜き自体は恐らく難しいことではありませんが、方法やタイミング、潜行する速さのコントロールなど、いろいろな要因が整ってこそ、適切でスムーズな耳抜きがでるようになります。耳抜きができず悩んでいる方は、一つずつ丁寧に取り組んでみましょう。

また、どうしても耳が抜けない方は、ぜひ、トレーニング道具も試してみましょう。焦らず時間をかけてトレーニングしてみてくださいね!

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