ダイビングインストラクターはやめとけ?きついと言われる理由と仕事の現実

「ダイビングインストラクターはやめとけ」
「仕事がきついからおすすめしない」
インターネットでダイビングインストラクターについて調べていると、このような言葉を見かけることがあります。
これからインストラクターを目指したい方にとっては、不安になる言葉だと思います。
結論からお伝えすると、ダイビングインストラクターは楽な仕事ではありません。
体力を使いますし、お客様の安全を預かる責任もあります。働く場所によっては、給料や勤務環境にギャップを感じることもあります。
一方で、「やめとけ」と一括りにできる仕事でもありません。
働く地域、ショップ、雇用形態、担当する仕事によって環境は大きく異なり、自分に合った働き方を選ぶことで長く続けているインストラクターもたくさんいます。
この記事では、ダイビングインストラクターが「やめとけ」「きつい」と言われる理由と、実際の仕事について現場目線で解説します。
この記事を書いた人
松谷勇馬
MOANAダイビングカレッジ石垣島 代表
松谷勇馬 PADI Course DirectorPADI Course Directorの松谷です。石垣島でPADIインストラクター開発コースを開催し、インストラクター育成を担当しています。
ダイビングインストラクターは本当にやめといた方がいい?
ダイビングインストラクターという仕事そのものを「やめといた方がいい」とは言えません。
ただし、「毎日海に潜れて楽しそう」「好きなダイビングをして給料がもらえる」
というイメージだけで業界に入ると、想像との違いを感じる可能性があります。
インストラクターは、ダイビングを楽しむ側ではなく、お客様を安全に楽しませる側です。自分が潜りたいポイントへ行けるわけではありません。
水中では常にお客様の状態を確認し、海況を判断し、トラブルが起きれば対応する必要があります。
つまり、趣味としてのダイビングと、仕事としてのダイビングは大きく異なります。



先輩には、よく「君の仕事は、綺麗な海を見せることではなく、レアな生物を見せることでもなく、生きてお客様を陸に帰すことです」と言われてました。
ダイビングインストラクターが「やめとけ」と言われる理由
給料が高い仕事ではない
ダイビングインストラクターは、一般的に高収入を目的として選ぶ仕事ではありません。
特に経験が少ないうちは、他業種と比べて給与が低いと感じる場合があります。私自身、沖縄のダイビング業界で働いてきて、特に若手スタッフの給与水準については、決して高い業界ではないと感じています。
地域やショップによっては、社宅、住宅補助、器材補助、資格取得支援などが用意されている場合もありますが、給与だけを見ると厳しいと感じる人もいるでしょう。
そのため、
「ダイビングインストラクターになれば稼げる」
という考えで業界に入ると、ギャップを感じる可能性があります。
体力を使う仕事
ダイビングインストラクターの仕事は、海の中だけではありません。
一日の中では、次のような仕事があります。
・タンクや器材の積み込み
・器材の準備
・お客様の送迎
・ボートへの荷物の積み下ろし
・ダイビング
・水中でのお客様管理
・器材やボートの清掃
・片付け
・翌日の準備
ショップによっては、早朝から仕事が始まることもあります。夏の繁忙期には連日海へ出ることもあり、体力的にきついと感じることがあります。
お客様の安全を預かる責任がある
インストラクターにとって、最も大きな責任は安全管理です。
水中では、
・残圧
・深度
・潜水時間
・海況
・流れ
・お客様の体調
・スキルレベル
などを常に確認します。
初心者のお客様の場合は、予想していなかった行動をすることもあります。トラブルが起きたときには、自分が落ち着いて判断しなければなりません。
「海で働けて楽しそう」というイメージ以上に、安全・命を預かる責任が大きい仕事です。
天候や海況に左右される
ダイビングは自然を相手にする仕事です。
台風、強風、大雨、波、うねりなどによってツアーが中止になることがあります。
予定していた仕事が急になくなることもありますし、逆に海況が変化した場合には、ポイント変更やスケジュール変更が必要になります。
毎日決まった時間、決まった内容で仕事が進む職種とは大きく異なります。
土日や連休が忙しい
ダイビングショップが最も忙しくなるのは、一般のお客様が休みの日です。
そのため、
・土曜日
・日曜日
・祝日
・ゴールデンウィーク
・夏休み
・お盆
などは繁忙期になります。友人や家族と休みを合わせにくいこともあり、生活スタイルが合わずに業界を離れる人もいます。
「潜る以外」の仕事が多い
ダイビングインストラクターという名前から、仕事のほとんどがダイビングだと思われることがあります。
実際には、
・予約対応
・電話やメール
・受付
・送迎
・清掃
・器材管理
・タンク管理
・SNS
・ブログ
・写真整理
・船の整備
・店舗業務
など、海以外の仕事も多くあります。小規模なショップでは、スタッフ一人が幅広い仕事を担当することも珍しくありません。
ダイビングインストラクターの仕事は「きつい」?
はい、きつい部分はあります。
ただし、何をきついと感じるかは人によって大きく異なります。
体力的なきつさ
毎日タンクや器材を運び、複数回潜る仕事は体力を使います。
特に夏場や繁忙期は疲れが蓄積しやすくなります。
一方で、経験を積むことで効率よく仕事を進められるようになったり、年齢に合わせて担当業務を変えたりすることもできます。
精神的なきつさ
インストラクターは常にお客様の安全を考えます。
海況が悪い日や、緊張しているお客様を担当する場合は、精神的な負担を感じることもあります。特に初心者講習では、一人ひとりの状況を見ながら進める必要があります。
人間関係のきつさ
ダイビングショップは少人数の職場が多いため、人間関係の影響を受けやすい面があります。
一緒に働くスタッフとの相性や、ショップの方針が自分に合うかどうかも重要です。
仕事内容だけでなく、
「どのショップで働くか」
も非常に大切です。
それでもダイビングインストラクターを続ける人がいる理由
大変な仕事であるにもかかわらず、長く続けているインストラクターはたくさんいます。
その理由は、この仕事ならではの魅力があるからです。
お客様の成長を間近で見られる
最初は水に顔をつけることさえ怖かった方が、少しずつ潜れるようになる。
初めて水中で呼吸した瞬間
初めて中性浮力ができた瞬間
ライセンスを取得した瞬間
その成長を近くで見られることは、インストラクターという仕事の大きな魅力です。
好きな海を仕事にできる
もちろん仕事なので、自分が自由に潜るダイビングとは違います。
それでも、海の近くで働き、日常的に自然と関われる仕事は多くありません。海が好きな人にとって、この環境そのものが大きな魅力になることがあります。
世界中で活かせる資格
ダイビングインストラクター資格は、国内だけでなく海外でも活かすことができます。
リゾート地で働いたり、海外へ移住したり、自分でショップを運営したりと、さまざまな選択肢があります。
人との出会いが多い
ダイビングを通して、全国、そして世界中からさまざまなお客様と出会います。
講習を担当した方が長くダイビングを続けてくれたり、プロを目指したりすることもあります。
人とのつながりを楽しめる方にとって、大きなやりがいになる仕事です。
「やめとけ」と言われても向いている人
ダイビングインストラクターは、次のような方に向いています。
特に重要なのは、
「自分がダイビングを楽しみたい」
だけでなく、
「お客様にダイビングを楽しんでもらいたい」
と思えるかどうかです。
逆におすすめしにくい人
一方、次のような方は慎重に考えた方が良いでしょう。
・高収入を最優先したい
・土日祝日は必ず休みたい
・体を使う仕事を避けたい
・接客が苦手
・責任の大きい仕事を避けたい
・海況による予定変更が苦手
・自分の好きなダイビングだけをしたい
もちろん、すべてに当てはまる必要はありません。
重要なのは、自分が何を仕事に求めているのかを理解することです。
働くショップによって環境は大きく変わる
ダイビングインストラクターという仕事を考えるとき、仕事内容だけでなく、勤務するショップの環境も非常に重要です。
例えば、
・給与
・休日
・勤務時間
・住宅補助
・社宅
・器材補助
・資格取得支援
・スタッフ数
・担当業務
・繁忙期の勤務体制
などはショップによって異なります。
同じダイビングインストラクターでも、働く環境によって仕事の印象は大きく変わります。
「ダイビング業界は全部こうだ」
と考えるのではなく、就職する場合は複数のショップを比較することをおすすめします。



インストラクターという資格が同じでも、働き方はショップによって本当に違います。仕事内容だけでなく、休日や福利厚生、スタッフの働き方まで確認した方が良いと思います。
いきなり転職しなくてもいい
インストラクター資格を取得したからといって、必ずダイビング業界へ転職する必要はありません。
現在の仕事を続けながら、
・週末だけ非常勤で働く
・繁忙期だけショップを手伝う
・休暇を使って経験を積む
という方法もあります。
まず副業として現場を経験してから、自分に合っているか判断することもできます。
ダイビングインストラクターはやめとけ?まとめ
ダイビングインストラクターは、体力、安全管理の責任、給与、休日など、大変な部分がある仕事です。
「毎日海に潜れて楽しそう」というイメージだけで目指すと、ギャップを感じることもあります。
一方で、大変な部分を理解したうえで、海が好き、人に教えることが好き、お客様の成長にやりがいを感じる方には魅力のある仕事です。
「やめとけ」という言葉だけで判断せず、仕事内容や働き方を知ったうえで、自分に合っているかを考えてみてください。
ダイビングインストラクターを目指したい方へ
MOANAダイビングカレッジ石垣島では、PADIインストラクターを目指す方の相談を受け付けています。
「興味はあるけれど、本当に自分に向いているのか分からない」
「現在の仕事を辞めずに資格を取得したい」
「実際の仕事内容や働き方について聞いてみたい」
という段階でも問題ありません。
現在の資格や経験本数、希望する働き方を確認しながら、インストラクターになるまでの道を一緒に整理します。


